雨もまた良し・・・
鳴かぬなら・・・
という枕から始まる句がある。
戦国時代の雄、3武将をそれぞれたとえて
と後世の詩人が作ったらしい。
作者不明とのことだが・・・
対して、経営の神様といわれた松下幸之助翁の言葉に
「鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス」
というのがあるといわれている。
それぞれのよさを認めつつ、個性や人格を活かす、まさに人に光を当てていく経営者、幸之助の名言として残っています。
そこから、
ホトトギスは、鳴かないときも、ホトトギスであることに変わりない。
「自然のままでいいではないか」という考え。
として捉えられることもしばしばあります。
ただ私の印象としてはこの句は、世の盛衰に流されてはいけないという、強い句であると思っています。
なにかにつけて私たちは、「今の時代は」とか、「今の政治は」とか、「あの上司」はとか、自身の環境を嘆きながら生きています。ネットが普及して、それが炎上という形で顕著に現れていると思います。すべてではないと思いますが、根底にねたみや嫉みがエネルギーの源泉となっているように見えます。そこに怒りの感情など火をつける力はありますが、感動はありません。
経営をしているとどうしようもない世の流れ、流行廃りを超えて、大きな時流に飲み込まれることは必然でしょう。それを嘆いても仕方ない。
洋菓子の世界もそう。少子化もそう。高齢化もそう。人の考え方や生き方の変化で起こったことですが、その大きな流れの多くは人の力ではどうしようもありません。
好景気ももちろんいいが、不景気もまた良いではないか。どうして売ろうか、どうしたら喜んでもらえるか、真剣に悩み考え抜く強さが見につく。
世の時流は変化する、それを世の中や政治家の責任にしても仕方ない。
その中でどう考え、どう行動するかだ。
松下幸之助翁はそういった想いを句に盛り込んだ気がする。
金沢は雨も多く、冬には雪が降る。だからこそ雪に耐える忍耐力が身に尽くし、春の日差しのあたたかさに感謝できる。
人生は考え方ですべて変えられると思うのである。
まあ、なかなかその境地には達しませんが・・・
今朝も少し雨が降りました。
雨上がりの緑の美しさの中に、この句を思い出しました。
「雨降れば それもまた善し 菓子の樹や」
おそまつでした。